May 17, 2019

Racing Horses/Horse Racing/Horses

ミニマルなケイバ3.0への流れ

短期騎手免許の外国人騎手の活躍とその実力

オイシン・マーフィー Oisin Murphy(1995年9月6日 )アイルランド・キラーニー 身元引受厩舎:国枝栄(美浦) 身元引受馬主:(株)サトミホースカンパニー

ダミアン・レーン Damian Lane(1994年2月6日生)西オーストラリア州 身元引受厩舎:堀宣行(美浦) 身元引受馬主:吉田和子


23歳、25歳の若手ジョッキー(2019年5月現在)です。
いずれも、短期騎手免許取得の基準を満たし、短期騎手免許を取得し、来日しました。

結果論で言い切ると、超一流の騎手で、短期騎手免許期間を終えた、これからの競馬のあるべき姿や、世界の潮流を示しているように思えてなりません。

オイシン・マーフィー騎手 25勝/126戦(2018年12月15日~2019年1月27日)

ダミアン・レーン騎手 13勝/44戦(2019年4月27日~5月12日)

ヴィクトリアマイルCを勝利したダミアン・レーン騎手とノームコア(4牝 美浦・萩原清)


おめでとう。
ダミアン・レーン騎手(美浦 堀宣行)の騎乗するノームコア(美浦 萩原清)が題14回 ヴィクトリアマイルC 2019をタイムレコードの1'30"5で勝利しました。

レーン騎手は、G3、G2勝利に続き、G1も制覇、驚異の戦績を遺しました。

20代若手のトップクラスの外国人ジョッキーたちは、修行や経験の、自分都合だけでなく、勝利して、馬主に報いるという、実績を積み上げにきています。
これがプロフェッショナルの本来の姿勢ではないでしょうか。


短期騎手免許取得騎手の概要

名前 勝利数(日本) 騎乗数(日本) 免許期間 代表レース 代表騎乗馬
オイシン・マーフィー 25 126 18’/12/15-19’1/27 根岸ステークス(GⅢ) コパノキッキング
ダミアン・レーン 13(5/12現在) 44(5/12現在) 19’/4/27-19’6/25 ヴィクトリアマイルC(GⅠ) ノームコア

彼らが優秀だと思う点は、公正かつ向上心のある騎乗に努めそれに留意できること、関係各所の立場を理解し他者をも思いやり尊重すること、これらが習慣化されていることです。


「勝てば物が言える」は、結果論であり、結果がないと導き出せないものです。
加えて、勝つことができれば、危険な騎乗をしてもいいのか、横柄な態度でもいいのか、ということも問われています。  「フェアに、またはそれ以上の理不尽を超えて勝つ」ことが求められるようになりました。

彼らの場合は、もちろん結果が伴い、その過程も評価に値するようなものです。


短期騎手免許で騎乗する外国籍の騎手たちは、期間を限定して許可された免許での騎乗のため、主戦騎手を務めることはできません。
また、日本の短期騎手免許のハードルを越えているものの、良血馬や戦績のいい馬の騎乗依頼ばかりではありません。

それでも彼らは、所属する国の期待を背負って、ジョッキーとしての基本行動指針がにゆらぎがないよう務めを果たします。
その前提にあるものは、常に無駄の少ない一貫した姿勢と立ち居振る舞いです。
エージェントとうまくコミュニケーションをとりながら、関係各所への配慮を欠かさない姿を見ることができます。
この配慮は、まわりまわって多くの支持を集め、信頼へとつながり、自分に返される敬意にもなります。
示された敬意は、自分の自信にもつながり来る明日への活力となり、異国の地でも、その国の競馬に前向きな流れをつくってくれます。

オイシン・マーフィー騎手と馬主と調教師

そのことを、理屈ではなく、本能のようなジョッキーとしての才能なのか、まるですべてを理解して行動しているかのようにさえ見えます。

彼らは、若さとこの時代に培ったその柔軟な考えのもと、習慣化すべきこと、進化し続けなればならないことを棲み分けてミニマルに生きていかなければ、望むものは見えてこないことを教えてくれます。

このようなところから世界競馬のジョッキー(人材)のレベルの高さがうかがえます。
また若手が担うべきミニマルなケイバが見えてきます。

ダミアン・レーン騎手と馬主と調教師

ミー・ファーストではないミニマル

今、わたしが目の当たりにしている競馬は、圧倒的な強さを誇る勢力や潮流のあるケイバから、脱皮しはじめています。
なにかおかしいぞ、異変に気付けば、気づいた者が変わらなければいけないのだと気づいた人たちがいます。


JRAやJRAに準ずる関連会社、大手ファーム、コンサイナー、各種エージェントがあって、発展を遂げた日本競馬ですが、独占状態に近い市場はやがて競争力を失うか、格差を広げてしまい、「ミー・ファースト」のトランプ政権の率いるような利己的な市場が蔓延しています。

個人を尊重し共に競い合う発展途上にある市場では、ミー・ファーストのような強い勢力は必要ですが、ある程度成熟した市場では、市場をけん引する者には、調和や協調の精神が必要です。
けん引役は、その市場から受けた恩恵は他者あってのものと冷静に判断ができて、社会的責任を果たすこと、その市場や業界の発展に努めることが更なる市場の成長や進化になると考えます。

ただ、現在の日本競馬界において、そのけん引役となる者たちは、未だに独占(寡占)状態にあります。
それ以外の多くは、恩恵を受けられず、恩恵を受けられない原因は自分たちにはないと考えているのか、諦めているのか、行動を起こすことはありません。

これに、やっと気づきはじめたのは、生産者かもしれません。


年々、競走馬の売却価格は上がっているにも関わらず、個人の生産者は、割を食っている状況で、生産馬の売却による利益(キャピタルゲイン)は上がるどころか下がっています。

血統の動物と言われる競走馬では、その血統が価格にもダイレクトに表れますが、その潮流は、競馬の実績のある競走馬である特定の種牡馬やその血統に由来するものです。
リーディングサイアーの常連を多数かかえる大手が、その種付料の権利を保有しています。
また、その殆どが実績やコネクションによる取引で、個人の生産者が懸命に努力を重ねていれば報われるという甘い世界ではないのです。


ただ、だからと言って、その流れに流されているだけでは、成長も進化もなく、淘汰されていってしまうだけです。

ごく一部の人たちには、あらゆる角度からアプローチしていく姿、時代の潮流に追いつき、追い越せとしこ錯誤している動きが見られます。


時代の流れで、多くのことが生まれ淘汰され、進化し続けていますが、そのサイクルのスパンはとても短いものになっているように思います。
何がこれから起こるのかを予測する先見力も必要ですが、今、目の前にあることに対峙していく柔軟さと取捨選択の軸を持つことが大切です。
柔軟さと取捨選択は表裏一体です。

時代の潮流をも味方にできるような、身動きがとれる研ぎ澄まされたミニマルなケイバを築くべきときです。

いつも、いつでも、これからも日本のケイバに敬愛を込めて。ケイバ3.0を目指しませんか?



Thanks.

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