October 18, 2019

Life

良血馬の新馬戦

期待に応えるより無事を祈ること

中山競馬場での新馬戦

2019年9月29日のスプリンターズS[GⅠ]と同日開催の中山大4回9日の新馬戦で、ポタジェ(牡2 栗東・友道康夫厩舎 2月4日生)が勝利しました。

ポタジエは金子真人HD、ディープインパクトの馬主の所有する超良血馬です。
血統は、父:ディープインパクト 母:ジンジャーパンチ、ルージュバックケイブルグラムの兄弟です。
ポタジェはケイブルグラムの全弟で、入厩した厩舎は金子真人氏と親交の深い友道厩舎です。
金子真人HDが馬主で友道厩舎の管理馬としては、 ワグネリアンマカヒキユーキャンスマイルなどがいます。

ポタジェの馬体は、ほどよく締まった筋肉がついていて450kg。
レース序盤から中盤は、川田騎手の無駄の少ない位置取りで後方を確保。じわりと数頭交わし、4コーナー後の坂道を上る直線でその強さを発揮。計算されたかのように、ゴールまでに先を走る馬たちををすべて差し切って、勝利を収めました。行きたがる馬を抑えて、最後で差し切って勝つという強い競馬を、確実に仕込んで実践を以て経験値とする、当たり前ながらも人馬ともに忍耐と体力が必要な競馬です。


ポタジェの新馬戦勝利ゴール板前

東京競馬場での新馬戦

東京第4回5日 5Rでルナシオン(牡2 美浦・藤澤和雄厩舎 5月1日生)が出走しました。
父:ディープインパクト 母:ピラミマ、兄弟にスワーヴリチャードがいます。
兄弟として注目される基準にあるスワーヴリチャードは、父がハーツクライですが、ルナシオンは、ポタジェと同様、父がディープインパクトです。
芝適正とされて、適正距離にも制限なく成長を見ながら彼の成長を見守っていけそうです。

そしてこの日の馬場は、大型台風19号の影響で、馬場の不安定な状態が危惧されました。
新馬戦当日も、霧雨や小雨の昇降状態でしたが、前日の中止になった土日は、馬場保全のための厳戒態勢を強いていたためか、大きな傷みもなく、高速馬場での決着が続きました。
良馬場での競馬とは違い、前残りの競馬が予想されたためか、スタート前半はやや遅めでレースが運びました。ルナシオンは、集団の中段より前方につけて、それぞれ馬たち動きだしたゴール手前の2ハロン前ぐらいで叩き合いを制して一着入線を果たしました。東京競馬場の雨が降っていてもパンパンの高速馬場の長い直線で、ゴール直線に向かって掛かった時計での勝負になりました。


ルナシオンの新馬戦勝利板前

新馬戦勝利が絶対ではない

ポタジェとルナシオンはどちらもディープインパクト産駒です。
オーナーは個人の法人、馬主クラブという違いはありますが、どちらの馬主も勝利数、獲得賞金額は上位一桁であり、所有馬はGⅠタイトルを総なめにするほどのオーナーたちです。
その馬主が見出した競走馬は、どちらもディープインパクトを父に持ち、繁殖牝馬の過去の産駒実績も一定の評価として、OPクラスまで勝ち進んだ競走馬が並び、注目を集めていることは間違いありません。
勝って当然と有望視されますが、この競馬の舞台に立つことがとても難しいということは、忘れてはいけないことです。
まず、競馬へ出走するために、能力試験に合格することが必須条件として課せられています。

調教試験の中のひとつ、ゲート試験は、人間の指示でスムースにゲートに入る、人間の指示で止まって我慢する、ゲートが開いたら速やかに前方に発馬するなど、一連のスタート動作が滞りなく行われることが安全に走行するための第一条件として定められています。
初めは、殆どの馬がスムースにゲートの中に入ることができません、ゲートに入ることができても、ゲートの中で一定の時間駐立していることも馬にとっては容易なことではなく、またその逆で、ゲートが開いたときに速やかに前方に走り出すことも要求されます。
ただ、このゲート試験は、適切な訓練とコミュニケーションの積み重ねで、クリアすることができるものとして、また、馬たちが安全に公正に発馬し、競走することを目的とした試験のひとつです。
これは、馬に対しての試験でもありますが、馬を管理調教する人間の技量なども確認していることにもあたります。

調教試験は、入厩し、初出走を控える競走馬にこそ必要な試験です。
ある一定の調教を受けてその基準を満たした馬が競走しなければ、安全性と公平性を欠くことにもなり、同一クラスの競走として適切とは言えなくなります。
一勝クラス以上は、未勝利のクラス競走で勝ち上がった実績自体が基準となるため、走行の試験は不要とされます。(その後、競走を阻害する素行だと認められた場合には調教再審査。最近では、2017年の3歳500万下(現在の3歳1勝クラス)でモレイラ騎手が騎乗した サトノティターン(牡6 美浦・堀宣行厩舎)が平地調教再審査となった。)
基準値を定めることは、公営競技が公平な基準の執り行われていると示すこと、競技を円滑に滞りなく行うために必要なことです。


また、新馬戦に勝利しても、そうでなくても、まず、無事に発走し、完走することを称えることが競走馬としての第一歩です。
デビュー直後から活躍できる早熟型、実線を積むごとに頭角を表す晩成型、
距離適正の、短距離型、中距離型、長距離型、
コース適正の、芝馬、ダート馬、
ハミ受けや手前などの適正にかかる、左まわり、右まわり
馬場状態だと、良馬場向き、重馬場向き。
競走馬をその順位やひとつの基準だけで判断することはできません。


人間と同じように、個性があり、それぞれに競走馬としての運命を生きている彼らはとても美しくて、目が離せません。


新馬戦、まだ続きます。
GⅠレースなどが続く季節で古馬の中でも最高峰のクラスで走る競走馬を見る機会が多くありますが、どんな古馬たちにも新馬戦などの初戦は存在しています メディアや関係各所からの情報は錯綜しますが、競走馬たちはそんな人間の思惑で走るわけではありません、
その馬なりに、馬を見守るわたしたちにとって唯一の物語が繰り広げられていきます。


秋競馬は、新馬戦、未勝利戦、重賞・グレードレース、毎開催が馬たちの大運動会のようで、この機を逃すまいと、ついつい応援しに足を運んでしまうのだと思います。



Thanks.

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