January 10, 2021

Horse Racing

好意的な有馬記念

有馬記念の事情

JRAの主催する中央競馬は、2020年の2月(2月29(土))からの無観客競馬を経て、10月(10月10日(土))からの一般客の入場を指定席完全抽選予約制の開催に切り替えてからの開催で、関東圏の開催では、約2,500席〜(東京:4,384席 中山:2,542席 いずれもスマートシート含む)の開催で行われていました。
2020年の有馬記念は、2,542席と、特別招待枠「グランプリシート」という特設の観戦スペースを250名(席)分を準備していました。
その観戦チケット(指定席)の争奪戦は、同年のジャパンカップほど、激化しませんでした。

2020年のジャパンカップはアーモンドアイが引退前するレースであり、2020年の無敗の三冠牡馬のコントレイル、同年無敗の三冠牝馬のデアリングタクトが揃い、その観戦の指定席の当選の倍率は、約11倍という数字にまで跳ね上がりました。
有馬記念では、この3頭のいずれも、出走の登録はありませんでした。


2020年有馬記念のターフヴィジョン

それぞれの舞台であること

コロナ禍では、誰もが突然に突きつけられた状況に戸惑いながらも、今日、ここまでやってきました。
競馬は、目の前で見守る観客の熱い眼差しもなく、その熱気を帯びた競馬場の景色はなく、以前に見えていものが見えなくても、感じていたことを感じられなくなっても、その後、観客が戻ってきた秋競馬でも、わたちたちの前で開催を続けていました。
競馬が健在であるという姿を、変わらず示し続けていました。


この有馬記念は、挑戦者が中心となり集う機会になりました。
競走馬たちは、人間側の都合を考慮することもありませんし、馬主、厩舎陣営や騎手たちは、当事者にしか知り得ないそれぞれにある思いのもと、競走に挑みました。

今度こそGⅠタイトルを獲得したい者、初GⅠ参戦に沸き立つ者、雪辱を果たしたい者、再起をかけてきっかけを掴みたい者、登録馬の出走回避により出走枠を獲得して野心を燃やす者、これ以外にも、いくつもの思いがあったはずです。
個人差はありますが、誰もが、尽きることのない野心を燃やし、見たこともないその先にある高みを目指しています。


これが有馬記念

それぞれに少しだけ、あるいは、大きく成長した彼らの姿は、競馬界の誇りです、
競馬のみならず、日本や世界を元気にする姿でした。

レース本番、スタートは問題なく全馬が発馬しました。
極端に縦に長い隊列にもならず、1周目のゴール板を通過、向正面にまで続きました。
向正面を少し登ったところで、応援馬のブラストワンピースは、前団でペースメーカーとなっていましたが、失速してしまい、競走を中止しました(レース後、帰厩して「心房細動」と診断、年明けに放牧に出されました。競走馬生命には大事なかったとのことです)。
ほかの競走馬は一団となり、4コーナーまで運びました。
クロノジェネシスは、4コーナーを曲がり切った直後には、前を遮る馬がいない位置まで控えていて、直線最後の坂で抜け出して、そのまま押し切って優勝しました。
サラキアは、坂を上り切る直前で末脚を一気に開放して、鼻差の2着に食い込みました。
フィエールマンは、絶好の位置取りとペース配分で好位置を確保していましたが、外から伸びたサラキアには不意を突かれて、3着に留まりました。

有馬記念で先頭を走るクロノジェネシスと猛追を見せるサラキア

光を見たい

先を見たい、見たこともない景色や光を見たいという思いがある限り、競馬には終わりがありません。常に未完であるということかもしれません。
その景色や光は、今は、最高のものに見えても、未だ見ぬものを見たときに、その記憶も野心も塗り替えられていきます。
今日見た光は、如何様にも、その者それぞれを豊かにしていくはずです。


付記

ブラストワンピースと横山武史騎手へ

ただ、ひたすらに、とてもとても、かっこよかったです、ありがとう。

競走馬と騎手として、それぞれ自立して確固たる個性がある姿なのに、一頭と一人がひとつになった、なにか別の生き物の姿に見えました。
このレースが終わったときには、レース前よりもさらに、賢くて、強い戦士だと確信していました。
ブラストワンピースと横山武史騎手に会いたいです。また、いつでもどこでも、会いに行きます。ありがとうございました。

スタート直後一周目正面を通過するブラストワンピース 競走を中止したブラストワンピースが待機する姿

クロノジェネシスと北村友一騎手へ

冷静に運んだ素晴らしレースでした、ありがとう。

勝ち誇るその姿、その強さは、クロノジェネシスや厩舎陣営、新しいご家族の多くのパワーのお陰、そして奥様の存在があたからだったのですね。
ターフヴィジョンで放映された、子どものようにとにかく喜ぶ声と顔の表情に、応援馬が及ばず悔しかったことも忘れて、うれしくなってしまいました。
心より、お祝いの気持ちをお伝えしたいと思います、おめでとうございました。


サラキアと松山弘平騎手へ

本気で勝ちに行く何者かの影に、一度、シャッターを押す手を止めて、カメラを下ろしてしまいました。
一瞬の殺気がするほどの競馬、その場の雰囲気を、すべてさらっていってしまうような走りでした。
これがサラキアにとって最後の競馬であることを、後から知りました。ありがとう。

そして、20代でここまでの騎乗ができる騎手がいること、改めてうれしく思いました。
最後の晴れ舞台でサラキアとわたちたちにも素晴らしい景色を見せてくださって、ありがとうございました。


フィエールマンとクリストフ・パトリス・ルメール騎手へ

 

力強い姿をありがとう。

最大のパフォーマンスを発揮することの難しさをよく知っていて、そのプレッシャーを見事に着順に落とし込んでくれました。
いつでも期待値も高いところにいて、それでも第一線で、そこを決して譲らない強さは圧巻です。
いつもいつも、そしてこの日も、ありがとうございました。

有馬記念で猛追を見せるサラキアと前を追うフィエールマン

私自身のメッセージも最後に綴ります。
2021年も、競馬は多くの人にとって好意的に在るようにと願い、今現在、競馬が好意的に捉えられていない人にたちに対しても、近くに在っていいものだと思っていただけるように、しっかり伝えていきたいと思います。

そして、日本の競馬で最も観客に好意的な競走に、いつか、あるべき機会で、ひとりでも多くの人に、立ち会っていただきたいと思いました。



Thanks for all.

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